日本の定期一括採用とは異なり、ベトナムでは必要時の職務別採用。高い離職率の元、採用業務は日常の業務となります。面談では言葉も通じないため、履歴書の確認が中心となり、ともすれば頭数を揃えることを優先しがちです。親日とはいえ、全てのベトナム人材が日本企業で働くことに向いているわけではありません。良い人材に巡り合うかは運次第ですが、避けるべき人材は気を払えば避けられます。

日本の定期一括採用とは異なり、ベトナムでは必要時の職務別採用。高い離職率の元、採用業務は日常の業務となります。面談では言葉も通じないため、履歴書の確認が中心となり、ともすれば頭数を揃えることを優先しがちです。親日とはいえ、全てのベトナム人材が日本企業で働くことに向いているわけではありません。良い人材に巡り合うかは運次第ですが、避けるべき人材は気を払えば避けられます。

 

  • 人はいるが良い人がいない

ベトナムの約96百万人の人口のうち、労働人口は約55百万人ですが、うち外資系企業に勤務するベトナム人材は4%程度にすぎず、96%の人たちは伝統的なベトナム社会で働いています。組織への帰属意識を重視する日本独特の仕事の価値観を好むベトナム人材は、むしろ少数派ともいえましょう。

高給で採用したものの実力の伴わない自信家、自分の仕事に閉じこもる孤立家、他の従業員も敬遠する聞かん坊、平然と立場を利用して不正を働く策士家。採用面接の際には謙虚な姿勢を見せていたものの、試用期間も過ぎた頃には素性を見せ始め、周囲の従業員を悩ませる人材を採用してしまうことはよくあります。

 

  • 「当たり前」がなかなか満たされない候補人材

一定の思考力や社会常識を持ち、周りの人に迷惑をかけない。あえて確認せずとも、会社で働こうと思う人材であれば、誰しもが満たしている要件と前提を置きがちです。

しかしながら、弊社が採用時に行う試験結果からは、一般に7割の人材が85~115点の範囲に結果が収まるといわれるIQテストにて、85点に満たない応募者が6割、精神診断にては、ほぼ全員がナルシスト傾向が強く、自身の考えに固執する応募者が6割となるなど、当たり前の要件は満たしているはず、と前提を置くことにはリスクを感じます。

ベトナムのことはベトナム人にと、採用をベトナム人担当に任せてしまう会社もあるかと思いますが、自身の気質でさえ自覚していないベトナム人担当にては、候補者の気質を見極められようもありません。性格などは他人が知りようもないことと、面談では、候補者の経歴と本人の自信を確認するにとどまるのが通例です。

また、伝統的な思考に染まったベトナム人候補者にては、与えられた職務をこなすのが仕事だから、性格や向き・不向きは関係ない、と一員として会社に加わり、苦楽を共にするといった発想の理解ができないことがよくあります。

 

  • 人材採用は未来の社長候補採用

3~5年内には大半の従業員が入れ替わるベトナムにては、将来を期待して採用したベトナム人材が会社を去っていくことに心の折れることもしばしばです。しかしながら、採用した人材の中からしか社長候補が生まれない以上、できるだけ多くの原石を採用をしたいものです。

一般常識や数学などのテストを採用試験に実施する会社もあります。「当たり前」の前提がおけないベトナムにては、IQテストや試験時の受験姿勢のチェックなどを含めた常識の確認が必要です。

また、日本的・御社的に即した人材の見極めには、会社の理念や仕事に対する価値観への符合度の確認も必要です。適性検査のようなものはベトナムでも実施可能ですが、常識が満たされたうえでの適性を判断するような内容が多く、孤立志向や形式志向などのベトナムに伝統的な思考の強弱を測るには、むしろ精神鑑定の方が当たり前への適合度を判断しやすい気がします。弊職が独自に開発した意向調査を採用候補者に実施した結果にては、日本的な仕事の価値観への合致率は平均すると4割程度にとどまります。

上記のような一般常識や気質などのデータを得たうえで、候補者と採用面談を行います。得たデータ通りの常識理解や思考力、価値観・気質かを的を絞って対面で確認することになります。候補者は猫をかぶって面接に臨むのは万国共通です。本音を引き出すには、圧迫面接のような手法を用い、心理的にプレッシャーをかけて、本音や本性をあぶりださせることが重要です。

 

まだまだベトナムでは、就職を会社の一員となることと捉える理解は一般的ではなく、日本で言うアルバイトへの応募・選定と同等の感覚で採用活動が行われがちです。将来を期待される人材の探索に向けて、外観上の経歴のみならず、人としての素養や価値観を把握すべく仕組化を進め、また日本人が手本となって面接の進め方を指導していく必要があります。