具体的に人事制度の現地化に取り組む上で、まず明確にしておきたいのが、「協働と共存の場としての会社とするか、協働と競争の場としての会社とするか」といった人材経営の指針や、会社の長期永続の根幹である経営理念・会社の価値観を継承する人材のありたい姿、更には今回のテーマともなる「組織構造のありたい姿」となります。

具体的に人事制度の現地化に取り組む上で、まず明確にしておきたいのが、「協働と共存の場としての会社とするか、協働と競争の場としての会社とするか」といった人材経営の指針や、会社の長期永続の根幹である経営理念・会社の価値観を継承する人材のありたい姿、更には今回のテーマともなる「組織構造のありたい姿」となります。

 

  • 蓄積された垢落としの取り組みでもある人事制度の現地化

会社設立より年数を経た会社にては、多くの場合、これまでの日本的人材経営により蓄積された垢が人事制度の現地化への契機となっているように見られます。

離職率と昇給意欲の高いベトナムの人材市場下で、終身雇用・年功序列を主軸とする日本的な人材経営を進めていると、離職に悩まされる一方で、滞留人材の給与水準は高まり、また戦力となる人材の引き留めに力が入りすぎて、管理者層の肥大化が生じがちです。こうして蓄積された日本的人材経営の垢を契機に、将来を期待される人材を動機付け、また採用における人材獲得競争への優位性の確保に向けて、人事制度の現地化が検討の俎上に上ります。

ある程度年数が経過した会社における人事制度の現地化は、ベトナムの人材状況に応じた制度改訂への取り組みであるとともに、これまでに蓄積された人材経営の垢落としの活動ともなります。

 

  • 蓄積された垢落としの取り組みでもある人事制度の現地化

会社設立より年数を経た会社にては、多くの場合、これまでの日本的人材経営により蓄積された垢が人事制度の現地化への契機となっているように見られます。

離職率と昇給意欲の高いベトナムの人材市場下で、終身雇用・年功序列を主軸とする日本的な人材経営を進めていると、離職に悩まされる一方で、滞留人材の給与水準は高まり、また戦力となる人材の引き留めに力が入りすぎて、管理者層の肥大化が生じがちです。こうして蓄積された日本的人材経営の垢を契機に、将来を期待される人材を動機付け、また採用における人材獲得競争への優位性の確保に向けて、人事制度の現地化が検討の俎上に上ります。

ある程度年数が経過した会社における人事制度の現地化は、ベトナムの人材状況に応じた制度改訂への取り組みであるとともに、これまでに蓄積された人材経営の垢落としの活動ともなります。

 

  • 組織構造のありたい姿を描く

将来が期待される人材がいるが、既に上位職の席は埋まっている。上位職の人材は長年在籍して、立ち上げ当初の混乱期には活躍してくれたが、生産性向上に経営の舵を切った現在においては、あまり活躍の場がない。仕方なく部署を2つに分けて席を作り、将来が期待される人材には新たに作った席についてもらい、昇給・昇進への期待に応える。現実にはありがちな、頭を痛める例ですが、人に応じて組織を作ってしまう典型的な采配が、積み重なって垢を作ります。

年数を経て蓄積された垢が、人事制度の現地化とともに即座に一掃できるケースはまれで、通常は一定期間内に段階的に対処していく、もしくは垢は本制度とは切り離して運用していくことになります。ともあれ、人事制度の現地化検討に当たっては、まずは進める事業と経営方針に沿って、現状の人材状況はひとまず差し置いて、ありたい組織構造を描きたいものです。また、純粋に事業運営に必要となる組織構造を描くことで、対処すべき垢が明確になります。

 

組織構造の設計に際しては、現在在籍している従業員の顔が頭に浮かびがちで、ともすれば従業員を配置するための箱作りの議論になりがちです。3~5年で従業員が入れ替わるベトナムの人材市場の状況を鑑みれば、そうして策定した組織構造も3~5年内には新たな状況にそぐわないものとなってしまいます。今いる従業員を念頭においた組織構造設計ではなく、将来のありたい人材に向けた組織構造設計を進めたいものです。