1958年に著書「日本の経営」を通じて、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」を外国人から見た日本企業の経営の特質としてあげたのはアメリカ生まれの日本の経営学者ジェームズ・アベグレンです。その後高度成長を迎えた日本へは海外からの関心も集まり、日本企業の特質を理解するうえでの教科書としても普及した本となります。

 

  • 長寿企業大国としての日本

日本は長寿企業大国と言われます、東京商工リサーチの調べでは、2017年に創業100年以上を迎える企業は全国に3万3千69社あるとのことです。四方を海で囲まれた日本は、地続きの国と比べで他国の侵略を受ける災禍も少なく、戦国・江戸時代を通じてお家存続を旨とした家業経営を続けられて来た結果でもありましょう。アベグレンの説く日本的経営の特質も、日本企業が、会社への忠誠心を持つ従業員を重用し(終身雇用)、忠誠心の現れである勤続を指揮命令系統の柱とし(年功序列)、労使が一体となって事業に取り組んできた(企業内労働組合)ことからすれば、お家存続を旨とする日本企業の経営原則を明らかにした偉業とも言えます。

ここベトナムに進出する日本企業においても、「どうしてベトナム人はすぐに会社を辞めてしまうのか」「従業員に会社への愛着を持ってもらうにはどうしたら良いか」「従業員に主体的に経営に参加して欲しいのだが」と言った疑問・期待の声がよく聞かれます。やはり日本人には企業の永続を旨とした原則的な価値観が根付いているのでしょう。

 

  • 日本食はおいしいが毎日食べたいわけではない

「日本食はおいしいが毎日食べたいわけではない」。筆者が営業に訪ねたベトナム企業の社長が発した、心に残る一言です。高品質で信頼のおける日本製品やおもてなしの精神の宿った日本のサービスは、世界中の人々より称賛され、尊敬の対象ともなっていますが、さりとて皆が日本人になりたいわけではない、と言いたいのだと思います。

ベトナムの就労人口は5千3百万人ほどですが、そのうちわずか4%が外資系企業に勤めるベトナム人材であり、日本企業に絞れば恐らくは1%以下ではないでしょうか。その他の99%のベトナム人材は報連相とも5Sとも無縁の世界の住人であることは心にとめておくべきでしょう。日本的なお家存続・企業永続の価値観は日本人にとっては当たり前の価値観ですが、ここベトナムや世界においては、日本独特の価値観だということです。

特にベトナムのような新興国においては、市場の開放を通じた急激な成長の機に乗じて超富裕層が生まれ、日本人でも容易に手にすることができない高級住宅に住み、高級車を乗り回すまでに至っています。こうして短期間で財を成した金持ちや、金持ちを羨望する人たちにとっては、高価な日本製品は手に入れたい豊かさの象徴ではありますが、自らが代々家をつないで地道に作り出していくことには、あまり関心がないようです。

 

  • 日本食はおいしいが毎日食べたいわけではない

「日本食はおいしいが毎日食べたいわけではない」。筆者が営業に訪ねたベトナム企業の社長が発した、心に残る一言です。高品質で信頼のおける日本製品やおもてなしの精神の宿った日本のサービスは、世界中の人々より称賛され、尊敬の対象ともなっていますが、さりとて皆が日本人になりたいわけではない、と言いたいのだと思います。

ベトナムの就労人口は5千3百万人ほどですが、そのうちわずか4%が外資系企業に勤めるベトナム人材であり、日本企業に絞れば恐らくは1%以下ではないでしょうか。その他の99%のベトナム人材は報連相とも5Sとも無縁の世界の住人であることは心にとめておくべきでしょう。日本的なお家存続・企業永続の価値観は日本人にとっては当たり前の価値観ですが、ここベトナムや世界においては、日本独特の価値観だということです。

特にベトナムのような新興国においては、市場の開放を通じた急激な成長の機に乗じて超富裕層が生まれ、日本人でも容易に手にすることができない高級住宅に住み、高級車を乗り回すまでに至っています。こうして短期間で財を成した金持ちや、金持ちを羨望する人たちにとっては、高価な日本製品は手に入れたい豊かさの象徴ではありますが、自らが代々家をつないで地道に作り出していくことには、あまり関心がないようです。